クサビ

 毎日、なんだか流れるようにするすると時間が過ぎていく。
 握った砂のようなもので、流れ落ち、後には何も残らない感じがする。
 日々の生活も、どこか、他人事のように、パンアウトして俯瞰視している自分がいる。
 

 こんな漫然として生活は、人間を、人生をつまらなくすると思う。
 流れる時間にクサビを打ち込みたい。
 数年後、数十年後に、「あのときのことは、昨日のことのように鮮明に覚えている」と、今日の日を振り返りたい。
 たとえ、それが心から涙を流すような悲しみだったり、胸が締め付けられるようなせつなさだったとしても。
 むしろ、苦しみのクサビが多ければ多いほど、人生は、厚みを増し、晴れて喜びのクサビを打ち込めたときには、魂が打ち震える感動を手にすることができるのではないだろうか?


 クサビを打ち込む方法をいくつか考えてみた。
1 恋愛。成就するにせよ、不本意な結果に終わるにせよ、真摯に、情熱的に。
2 うつの人を支援する活動に携わりたくなってきた。ネットを通してとか。自分の体験を還元したい。
3 旅行。インドに行って摩訶不思議な世界に触れてきたり、アラスカに行ってオーロラを眺めてきたり。