30歳になった。

驚いた。
自分が名実ともに「おっさん」に足を踏み入れたことに。
10歳、20歳のときと比べ、より衝撃が大きいかもしれない。
まぁ、体年齢は18歳、精神年齢は15歳くらいだ。ははは


30歳の誕生日の前日に自殺した女性の話。
1年ほど前、精神科医の本で目にした。
人生に絶望し、いや、意味を見い出せなくなり、20代最後の日に、自ら命を絶ったそうだ。
読んでいて、いたたまれなくなった。


自分も、同じようになるのではないかという恐怖があった。
彼女の心理が、わかるような気がしたからだ。
30は、若さが失われる象徴だし、人生の大枠が決まる時期でもある。先が見えてしまう、というか。
自分が29歳の最後の日を迎えるとき、どうなるのか、その先、人生の道は、果たして続いているのか。
霧がかかって視界が利かない感覚。


去年あたりから、展開が変わった。
6月のある日、簡単な見合いをした。お相手は、親の大学の知人のご令嬢(堅い書き方だが、実際お嬢様なのだ。)。3つ上なのだが、美人で、知性があり、上品な方。
最初は、恋心を抱いていたのだが、いろいろあり、お付き合いには至らなかった。
しかし、面白いものだ。
その方は、グルメ博士とも言えるほどの、食好き。
自分もおいしいものは大好きなので、そこで意気投合した。
今では、グルメ師弟の関係で、月一ペースで、グルメ会を開いている。
そして彼女と会ったのと日を同じくして、昔仲の良かった、幼馴染の女性から急に連絡があった。
今度東京に遊びに行くから、よければ会おうとのこと。
何かの勧誘か、と構えたが、思い切って会ってみると、デートっぽい感じで、大いに楽しめた。
そんな風に、人生には、転機となる時期がある。
それ以来、自分は、人生に前向きな気持ちが芽生えてきて、友達ともよく遊ぶようになったし、婚活を始めることにもつながった。


人生は、単調ではない。
自分は頭が悪いから、とか、不細工だから、とか、マイナス点は、挙げればどれだけだってでてくるもんだ。
でも、だからって、それで人生を諦めるのはおかしいし、そんな必要はない。
そういうマイナスをカバーする生き方があるだろう。コンプレックスをバネにして伸びることもあるだろう。
世の中は、人との支え合いでもある。完全な人間なんていなかいらこそ、人が寄り合い、補完したりする。
必ず、予想外の展開というのも出てくる。良きにせよ悪しきにせよ。
ハタチくらいで「人生が見えてきた」ような気がしたとしても、その通りいくというのは、ありえない。
そこが、人生の困難でもあり、醍醐味でもあるのかな。