「青が散る」(宮本 輝)読了

 テニスに情熱を注ぎ込む大学生活を描いた、青春小説。
 20歳前後という、若さの頂点の時期特有の、危うさ、敏感さや高揚感を、巧みな比喩で描いている。
 上下巻と分かれていてけっこうなボリュームだが、ほとんど負担を感じず、快適に読み進めることができた。
 小説で楽しいと感じたのは、ちょっと久しぶりかも。


 印象に残った、貝谷青年のセリフ。


 おい、燎平。きょうは何が何でも勝つんやぞォ。どれだけマッチポイントを取られても、逃げて逃げきって逆転するんや。テニスは、マッチポイントを取ってからが苦しいんや。一流も二流も関係ない。あきらめるやつが下で、あきらめんやつが上や。そやから二流の上は、一流の下よりも強いんや。