実家の祖母。

 今年で90で、いつのまにかずいぶん小さくなったなと感じる。
 顔もしわしわだし、手も足も、全身弱々しい。
 ここ数年、耳がずいぶん遠くなってきた。
 こっちがかなり声を張らないと反応してくれない。
 他にもあちこち、病気や調子の悪いところが出ている。
 年に数回、帰省して会うたびに、生命力が衰えているのを感じずにいられない。
 

 そんなばあちゃん、頭は実に達者。
 つい先日も役所に介護保険の認定(心身機能の状態の確認)をしてもらったそうだが、
 「今日は何月何日?」
 「自分の誕生日は?」
 「1,000引く700は?」
 なんて質問に間を置かず、ずばずば答えていったそうな。
 むかーしの人間なので当然のように大学なんかには行ってないのだが、小学校の頃は秀才の男子をおさえ、トップの成績だったとか(本人談)。


 体は確実に終わりのときに向かっているのに、頭は明晰。
 なんだかやりきれない思いがあるんだと思う。
 もどかしさやいらだちや情けなさや。


 両親が共働きだった自分にとって、ばあちゃんは育ての親。
 昔は毎日手をつないで保育園に行ったっけなあ。
 そういう光景、なんだか反芻して思い起こしてしまう。
 決してなくしてはならない、愛おしくあたたかい記憶。


 ばあちゃんにあと何回会うことができるだろう。
 二桁は、、、もしかしたら難しいかもしれない。
 少なくとも、今回の帰省が最後でないことを願うばかりだ。