4月 異動

 就職して初めて配属された課に3年勤め、初の異動に。勤務地も変わったので、転勤と言えるだろう。
 以前の課は、とにかく、忙しかった。
 しかも時間が経つにつれてそれが増していくという。
 今年の3月は、初めて残業時間が100時間を超えた。(自分の担当5名は、ほぼ全員こういう状態だった。)
 民間と比べると甘いのかもしれないけど、病気持ちの自分にとっては、ときに負担になる辛さ。
 3月31日は(休日出勤)、荷物などの整理、のみならず、普通に残っていた仕事をするために朝から勤務。
 昼過ぎに切り上げられればな、という甘い期待は吹き飛び、結局夜中まで働いていた。
 ほんとだったら30日の金曜までに余裕もって切り上げたいところだけどね。この課の3年間をよく表している一日だった。
 そして、この日の勤務後、結局、帰りは一番最後になったのだが、なんだかいろんな感情がこみ上げてきた。
 「この部屋で3年間、我ながらよく働いたなぁ。病気でくじけそうになり、もうダメだ、、、と何度考えたことか。」 


 しかし、この頃、気分的には概ね、悪くなかった。
 「この忙しい課から異動できる」「新しい所属は学校のようだ。建物も新しいらしい」
 という思いがあったからかもしれない。
 忙しさにより、落ち込む暇もなかった、というか、「今ここで気分が落ちたら、押し寄せる仕事の波にのまれて、ノックアウト状態になってしまう。」という不安が無意識にあったのかもしれない。


 とにもかくにも、4月から、新天地。
 不安はありつつも、期待に胸をふくらませてのスタートだった。
 実際、建物は確かに新しくキレイだし、仕事は前の課と比べればかなり落ち着くみたいだし、引っ越しで新しくマンションに入ることになったしと、うれしいことは重なった。


 そんな中、気分もうなぎのぼりになり、うつも回復に、といくと最高だが、実際は、その逆だった。
 良い要素だらけ、のはずが、気分的にはなぜか、むしろ落ち込んでいくのだ。
 考えた結果、一種の「燃え尽き症候群」ではなかろうか、と思い当たった。
 もう一つは、今の環境になるに当たり、いろいろなものを期待しすぎたのかな、と。
 「時間に余裕ができるから、今までやれなかったことをすべてやろう」「彼女も作ろう」「仕事でも計画的に自主的に取り組もう」などと。


 うつというのは、やはり、デリケートな病気だな、と思わずにいられない。「デリケート」が飾りすぎなら、「脆い」ということだ。
 一般的に、うつ病者は、環境の変化に弱いという。
 それは、悪い変化はもちろん、良い変化も、である。
 例として挙げると、家族の死、離婚、仕事のミスなどはもちろん大きな負担であると同時に、結婚、出産、昇進といった一般に「めでたい」「うれしい」イベントも、相当程度、負担になるようなのだ。


 この病気とは一生のつきあいになるんだろうな。
 そんなことを想起させた一件だった。