糸くずクリーナーとカイゼン

 洗濯機には、「糸くずクリーナー」なるものがついている。
 洗濯漕の内側の壁にへばりついているネットのようなもので、洗濯中に発生した糸くずや毛玉なんかが、ここにたまるしくみらしい。フィルターといった方が通りがいいかもしれない。
 ネット状のナイロンぽい素材でできており、いわば消耗品。数年に一度、取替えが必要なのだ。
 我が家の洗濯機も、これで6年くらい使用している、実は、4年ちょっと経過した頃から、ネットが痛んできていた。
 で、そろそろ取り替えねばな。と思い、去年一度、交換用のクリーナーを探しに行った。
 売り場を訪れてびっくり。
 種類が、とんでもなく多いのだ。「もしかしたら、数種類くらいあるのかな」程度に考えていたが、眺めると、ざっと、20〜30種類。メーカー別になっているのはもちろんのこと、同メーカーの製品でも、形状が全然違っていたりする。
 自分の洗濯機は、サンヨーの、「ASW-42S3」という型番。
 売り場には、同社「ASW-42」に対応しているクリーナーが売られていた。
 迷った。足りない"S3"は、色か何かか?
 結局、また売り場に足を延ばすのはおっくうだと考え、いちかばちかで買うことに。約600円。
 ・・・結果。バツ。形が明らかに合いません。
 ショック・・・。
 で、その後、めんどうで、買い替えに行かずに放っていた。洗濯物に糸くずがからまるのは嫌だったが、別に水漏れしたり機械が動かなくなったりといった実害もなかったため、ついつい尻込みしてしまったというところだ。
 で、昨日、たまたま大きなホームセンターに行く機会があったため、クリーナー売り場へ立ち寄ってみることに。
 改めて、その種類の多さに圧倒される。30〜40種類ある。
 近くに適合表カタログのようなものがあった。開いてみる。
 ・・・。
 洗濯機の種類というのは、とんでもなく多いようだ。
 それだけならまだしも、クリーナーも、もちろん違う型番の洗濯機で共通のものもあるが、それにしても種類が多い。
 結局、自分の洗濯機に適合するものは、「手に入りにくい」分類に入るものらしく(6年前のきしゅだからか・・・?)、その店にも置いてなかった。
 まあ、そういうオチのない話なんだが、なんというか、なんなんだろうか。
 もっと共通化できないの?と単純に感じてしまう。
 できればメーカー間も越えて、だめでも同メーカー間なら、可能な限り共通化すべきじゃなかろうか?
 車の部品でさえ、異なるメーカー間でも使いまわしの効く、汎用性の高いものは多い。自動車メーカーの努力と工夫の成果だろう。
 洗濯機のクリーナーは、車の部品ほど複雑な物とは到底思えない。いろんな種類のものを手にとってみても、材質なんかは同じのようで、形・大きさだけが違うように見える。
 何より、共通化を進めた方が、コストが削減できる。
 車だって(車の例えばっかりだが)、プラットフォーム(車台)の共用がどんどん進んでいる。車種ごとにプラットフォーム、いわば土台から設計するより、明らかに効率が良いからだ。
 あと、自分も悔しい思いをしたが、ユーザーに、迷いを与えないという効果も見逃せないだろう。中年のおじさん・おばさんが買いに来たりしたら、高い確率で間違うor途方に暮れるんじゃなかろうかと推測する。
 まあ、何かしら理由があるんだろうけどね。理由なくしてこんなに複雑にはしないだろうし。
 でもその理由が、旧時代的なものだったり、非生産的なものであるなら、改善を追い求めるべきだと思う。
 改善。カイゼントヨタじゃないけど、自分はこういう発送、作業が好きだ。
 メーカーだけじゃなく、他の業種や、役所でも、広く通用する考え方だと思う。
 小さな改善も、積み重なれば大きな変革につながる。
 自分も、身の回りの小さなものから、手をつけていきたい。
 去年、間違えて買ったまま残してある糸くずクリーナーを手に取り、そんなことを思うのであった。