映画「エンディングノート」

 ドキュメンタリー。
 仕事一筋だったサラリーマンが、引退し、家族との生活を楽しもうと思っていたところ、がんの告知を受ける。
 それからの彼とその家族の様子を、娘さんが撮影した映像を編集して映し出している。


 仕事人間だった頃、3人の子育てに奔走していた奥さんとは、けんかし対立する時期が続いていた。
 結果、別居に至る。
 声を荒げ言い争う映像。


 ところが、別居して週末だけ?会っていると、お互いの気持ちに余裕ができ、関係は良好に。
 人生後半を、幸せな状態で過ごしていける、はずだった。


 毎年受けていた健康診断。
 ある年、がんが見つかる。
 既にステージがかなり進んでいるとのこと。
 残酷すぎる現実。
 教会に行き、親父に導きを請う。


 限られた時間を家族と過ごす。
 長男はアメリカで所帯を持ち、ばりばり働いている。頻繁には帰国できない。
 やりくりし時間を作り、お見舞いに。
 孫娘たちが無邪気に寄り添ってくる。
 目を細める主人公。


 がんが進行し、最期のときが近づいてきた。
 長男家族は、少し前に帰国したばかり。
 もう会えずに終わってしまうのか。
 そんな矢先、無理をしてスケジュールを合わせ、家族で帰国。
 3人目のお子さんができていた。
 3人の孫娘を抱きかかえる主人公。
 長男家族がアメリカへ戻れば、もう二度と会うことはないだろう。
 実質、最後の面会。


 涙がこらえられなかった。


 いよいよ、立ち上がることもままならなくなり、病床に伏せる。
 最期を悟り、おくさんに声をかける。
 長年の夫婦生活で初めての言葉。
 「愛してるよ。」


 人生は、儚い。
 人類の、地球の歴史から見れば、ほんの一瞬。
 でも、だからこそ、一瞬の輝きを刻むんだ。