異動を巡る心理

 退社前、直属の上司に声をかけられた。
「Mさんは、来年、異動になるかもしれない。他の課に引っ張られていく可能性がある。」


 自分の属する担当は、4名。
 課の中でも独自の業務をしており、他の担当との関わりは薄い。
 その分、担当内での事務の連携や引継(伝承?)が重要。


 自分以外の3名を、Nさん(上司)、Mさん、Kさんとする。
 NさんとKさんは、在籍年数から、今年度いっぱいで異動になることがほぼ決定している。
 逆に、2名異動するので、Mさんと自分は、残留組(と言われていた)。


 担当内で柱になっているのは、明らかに、Mさん。
 冷静かつ適切な判断ができるし、先を見通す視点や優れたスケジュール感覚を持っている。頭もきれる。
 自分の行なっている業務は、Mさんと共同で行なっているものであり、その意味でも、NさんKさんがいなくなっても、来年はとりあえず安泰だなと、タカをくくっていた。


 そこで、冒頭の展開。
 具体的に引き合いが出ているのかはわからない。
 でも、そういう問題じゃない。
 公務員の異動というのは直前までわからないものだし、先を見通せるものでもない。
 そして、特定の職員(Mさん)が異動しない前提で頼り切った考えを持っているというのは、職業人として、甘すぎるということ。
 実際、異動するかどうかは、結果論。
 いつ独り立ちしても対応できるよう、常に自分の力を高め、磨き続けること。
 そうやって人間は、向上していくんだ。


 ましてや、税金で食べさせてもらっている身。
 気持ちを引き締めて、日々過ごそう。