−−−学生時代は良かった。


 最近良く、そう思う。


 時間が有り余るほどあったし、実家からの仕送りもかなりあった。
 都心に住んでて、バイクも持ってたので、好きなところに自由に行けた。
 通ってたのが都会の私立大だけあって、周囲には刺激的な人間も多かった。話を聞いてるだけで退屈しなかった。一緒にいるだけで、自分も魅力的で行動的な人間になれたような感覚を覚えた。
 自分の将来には無限の可能性が待ち受けているように思えた。


 違う。実際は違うんだ。そんなバラ色のものではなかった。
 多分、時間が経ち、自分自身がトシを取ったがゆえに、過去を美化して捉えてしまうのだ。
 実際、当時の状況をよくよく思い返してみる。
 完全な鬱状態でふさぎこんでいるときもあったし、友人と関係が悪くなって険悪になったこともあった。友人ができず、孤独に押しつぶされそうになった。定まらない自らの将来を嘆き、絶望に打ちひしがれた。


 結局、問題点は、今と変わらないんだな。
 きっと、これからも、同じことで苦しみ続けるんだろう。
 前へ、踏み出して行かねば。少しずつでも。