Filial piety
離れて暮らす母親が訪ねてきた。
うつ状態が強く、まともに応対できず。
結局、ほとんどまともな会話を交わすこともないまま、見送ることとなった。
見れば、彼女も、六十近い、白髪の女性である。
自分もこの歳になり、振り返れば、親孝行らしきことはほとんどしてこなかった。
気の遠くなるほどの手間と愛情をかけて育ててきてもらったというのに。
感謝したい。
でもそれを表すことができない。
そう思ったとき、やるせなさと後悔で泣きたくなってきた。
状態が良くない。
4年前、制御できないほどの絶望感と憂うつ感から、心療内科の門を叩いたわけだが、その頃の症状に近い。
今は3種類の薬を服用している。
それでこの状態というのは、なんなんだ。
自分は果たして寿命をまっとうすることができるのか。
ふと、言いようもない不安がよぎる。