いわゆる特養

 研修で老人施設へ行った。97歳のおばあちゃんと触れ合う。「あんた、何年生まれなの?」「早くいい嫁さん見つけんしゃい」と、10回くらい繰り返し言われた(認知症らしい)。曰く、「亭主を立てる、気のやさしい人を探しなさい」とのこと。なんだか、心に深く染み入った。自分の4倍以上の年齢の人。明治生まれ。なんだか、人間の奥深さに思いを馳せてしまうのであった。
 しかし、高齢者の介護ってのはほんと大変だな。見ると聞くとじゃ大違い。現場じゃ、ミキサーでどろどろにした食事の介助もするし、うんちまみれのおむつの交換もするし、入浴、着替え、歯磨きなんかももちろんする。ときには、暴れる人を取り押さえたり(まあ、最近は程度の重い人しか施設に入れなくなって、そういう元気な人はほとんどいないみたいだが・・・)。スタッフには正直、頭が下がる。
 同時に、自分はせめて、ああなるまでは生きていたくないな、とどうしても思ってしまった。あまりにみじめというかあわれというか・・・こういうこと言うのもなんなんだろうけど。でも、やはり、人間の尊厳が失われていると言っても過言じゃないと思う。少なくとも、自分の価値観においては、そうだ。あんな姿になって、スプーンでどろどろのご飯をねじこまれるなんて、耐えらんないよ。